名作映画 cinema-enter

名作映画の入口にご案内します。

シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第27回 「恐怖の報酬」②

f:id:cinema-enter:20210302174232j:image

映画の後半では危険なニトロをトラックで輸送する、手に汗にぎる物語へと展開していくのですが、これは映画史に残るほどの緊迫感あふれる場面の連続です。フリードキン監督も話されていますが、CGが登場する前の時代の映画ですから、数々の爆破シーン、壊れた吊り橋をトラックで渡るシーンなど、すべてがリアルに撮影されています。

f:id:cinema-enter:20210303105810j:image

 

この作品は、ユニバーサルとパラマウントの 2 大メジャー・スタジオが破格の2000万ドル(現在の 100 億円相当)の巨費を共同出資して、ロケは 3 大陸 5 ヶ国に及び、2 年を超える製作期間を費やした超大作として1977年公開されました。

f:id:cinema-enter:20210303105738j:image

しかし当時は『スター・ウォーズ』ブームと重なってしまい、男しか出てこない血と汗と泥まみれの『恐怖の報酬』は、興業的に大惨敗してしまいました。そのために海外で上映する際に、配給会社はフリードキン監督に無断で再編集を行い、121分の北米公開版を92分にまで縮めてしまったのです。そのため世界的にも本作を正当に評価されず、長く放置されてしまいました。

f:id:cinema-enter:20210303105608j:image

二社のスタジオが出資していた事もあって、権利関係が複雑化してしまい長く封印されていたが、本作を蘇らせるべく2011年にフリードキン監督は自らスタジオ 2 社を提訴し
権利者を特定しました。そして2013 年に 121 分【オリジナル完全版】の 4Kデジタル修復に着手し、同年のヴェネツィア映画祭でプレミア上映されました。以後、2014 年 LA、2015 年パリ、2016 年カンヌ映画祭、2017 年ロンドンで上映されたのです。
そして1978年の公開から40年の時を経て、2018年に日本でも公開されました。

フリードキンがそのキャリア史上最も心血を注ぎ、監督自身が「最高傑作」と評する作品です。

f:id:cinema-enter:20210303105719j:image