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シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第29回 「無法松の一生」①

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作品の紹介です。

 

1958年(昭和33年)4月22日公開。

監督 / 稲垣浩

脚本 / 伊丹万作

原作 / 岩下俊作

出演 / 三船敏郎
    高峰秀子

    芥川比呂志
    笠智衆

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稲垣監督が1943年(昭和18年)に製作した『無法松の一生』を、自らリメイクした作品。前作では検閲によりカットされたシーンがあり、本作でその無念を晴らし、第19回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞しました。

授賞式に羽織袴の正装で出席した稲垣監督は、感激のあまり日本に「トリマシタナキマシタ」と電報を打ちました。

映画祭には、本作と共に木下惠介監督の『楢山節考』と、増村保造監督の『巨人と玩具』が出品され、『楢山節考』とはトップ争いの形となったそうですが、本作の方が圧倒的な支持を得て金獅子賞獲得となりました。

しかし、「大賞はきっと『楢山節考』だろう」と予測して、通信社は松竹のある方向をむいて待機していたという。稲垣監督は「こっちがもらってわるいことをした」と照れておられたそうです。稲垣監督によると、外国にいると「東宝」だの「松竹」だのといった意識はなくなってしまい、日本の映画の受賞を願う気持ちでいっぱいになるそうで、「だから私の作品でなかったとしても、私の日本に打った電文は『トリマシタナキマシタ』であったろう」と、この授賞式を振り返っています。