シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第29回 「無法松の一生」②
産経新聞 月刊「正論」の元編集長の上島嘉郎さんが『武士道と日本人』について話しをされてるのを聞いて、この物語はまさしくその『武士道』に通じるものがあるし、江戸時代中期(1716年ごろ)に書かれた書物で、「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」という言葉で有名な『葉隠』の精神だと思います。
上島さんが考える武士道精神は、「己ではない誰かのために命をかけることができるか」なのだそうです。まさに主人公の松五郎の姿そのものです。
武士道の基本となる精神は「強くないという事は恥」ということです。男は強くなければならない。それは松五郎さんが小太郎に一生懸命に伝えようとしてた事ですね。
そして葉隠の中で有名な言葉「忍恋」
『葉隠』には「恋の至極は忍ぶ恋」だと断言しています。「忍ぶ恋」とは、一言でいえば永遠の片思いのことである。
これもまた松五郎さんが未亡人の吉岡良子さんに恋心を抱きつつも、その気持ちをグッと抑えてお世話になった母子に尽くしていく姿そのものですね。
男は死ぬ覚悟を持ってこそ、その一瞬に命を賭ける事が出来る。誰かの為に何かの為に、最良の生き方が出来るということ‥それが「武士道と云ふは死ぬ事と見つけたり」の意味であろうと思います。