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シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第7回 「ロッキー」③

ロッキーの映画の魅力ってたくさんあると思うのですが、まず第一にこれをボクシング映画として描くのでなく、ロッキーとエイドリアンの不器用な二人の愛の物語として描いてるところではないでしょうか。

 

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この映画に登場するキャラクター、ロッキーはもちろんエイドリアン、兄のポーリー、ミッキー、対戦相手のアポロ・クリード、それぞれにドラマがありしっかりと描かれています。そしてロッキーを始めとする登場人物すべてが人生を半ば諦めているような貧しい生活をしています。そこへチャンピオンであるアポロ・クリードから対戦相手に指名されたロッキーが、ほぼ勝ち目のないと予想されるこの戦いに挑んでいく事に連鎖して、エイドリアンやポーリー、ミッキーの人生も前向きに人生が動きだしていくのです。そしてみんなの心が一つになっていく‥これこそがシリーズを通しての作品の魅力になっていると思います。

 

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またロッキーのキャラクターは非常に優しく紳士的な心をもっているところが、観るものの心をグッと惹きつける魅力になっています。

冒頭のスパイダーとの対戦では、試合中に反則に近い行為でロッキーはダメージを受け、闘志を剥き出して闘いますが、いざ終われば相手に対して何も言うことなく静かに試合の結果を受け入れています。

エイドリアンの兄のポーリーがいくら困った問題を起こしても優しく接していますし、内気なエイドリアンに対しても優しく冗談を飛ばして接しています。道端でタバコを吸う未成年の女の子にも見過ごす事は出来ずにお説教、借金の取立てをしても借りた金を踏み倒してる相手の指の骨を折ることも出来ないのです。

 

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そして飲み屋のオヤジがテレビを見ながら、インタビューを受けているアポロに対して「格好ばかりの腰抜け」と罵倒します。その時いっしょに観ていたロッキーは「奴は世界チャンピオンだぜ、実力でなったんだ。」と、アポロに対して敬意を払っています。

このセリフの中にロッキーの持つ魅力の本質があると思います。

 

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何度観ても心が熱くなる、そして観るたびに新たな感動が湧き上がる、そんな作品です。

是非ご覧になってみて下さい。