シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第10回 「ブラック・レイン」③
表面的には日米合作のアクション映画なんですが、タイトルの「ブラック・レイン=黒い雨」‥これが意味するところは劇中の若山富三郎さん演じる菅井が説明しています。
ちなみに若山富三郎さんは映画が話せないのでコンピューターによる音声なのだそうです。
この映画は日本文化とアメリカ文化のぶつかり合いであり、違いの中でお互いに学んで共に認め合っていく、今にも通じるテーマを持っています。
映画の冒頭から日米がぶつかり合います。アメリカのハーレーダビッドソンと日本のスズキのバイクが賭けレースをしますね。
そして仕事に関しても、アメリカ人のニックは個人の判断で動いて捜査しますが、日本人の松本は組織の一員として動いて捜査します。
ニックの個人的な行動により容疑者の佐藤を取り逃してしまい、また日本の組織でのルールに縛られて捜査が思うように進展しない。
両方の国の悪い面が描かれています。
しかも日本では銃の所持は認められない為に、チャーリーを見殺しにするしか出来なかった‥あの場面でアメリカならば拳銃で助けられていたはずです。
またニックたちは事件の証拠品であるドル札がニセ札である事を発見し、この一連の事件が「ニセ札戦争」であると確定させます。
松本も殺されたチャーリーの仇を討つ為にニックと共に佐藤を追うのですが、そんな中でニックが過去に犯してしまった犯罪について松本が語ります‥「それはチャーリーさんを汚し、君自身を汚し、俺まで汚すことだ」と‥。
こうして互いに何かを学びつつ犯人を追います。佐藤とニックの最後の対決で、佐藤に取った選択も松本から学んだ事の一つですね。
空港でニックと松本が別れるラストシーンがとても良くて、ニックが日本風におじぎをすると松本が「親友はこうするんだよ」って手を差し出して、お互いにガッチリ握手を交わします。
日米の素晴らしい俳優さんたちが出演して、最高のスタッフによって描かれた素晴らしい作品です。是非ご覧になってみてください。