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シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 「ロリータ」③

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この作品が作られた時代はエロチックな表現に厳しかったようで、そのような場面はありません。しかしそれが逆に観る側の想像が膨らみます。それに冒頭のシーンのように、少女の素足が画面に現れ、男の手がその足に手を添えてペディキュアを塗っていく場面は、ゾクっとしてエロさを強く感じます。

 

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この作品を解説されてる中でよく「男が少女にのめりこんで、ストーカーのように変貌していく恐ろしさ」を主軸に捉えてる方が多いように思いますが、この作品の本当の恐ろしさはロリータとその母であるシャーロットだと私は思います。

 

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母のシャーロットはおそらく若い頃の、まだ酸いも甘いも知らぬうちにお金持ちの男性と結婚し、幸せな生活を送るも夫は急死してしまったようなのです。彼女にとって生活していく方法が全くわからぬ状態に追い込まれ、その唯一の方法がお金持ちの男性や有名な男性を見つけるとモーレツにアタックして結婚に持ち込む事なのです。しかしそれを阻む存在がシャーロットの娘のロリータです。シャーロットがターゲットにした男性はみんなロリータに心奪われてしまうのです。ロリータにとっても生きていく方法は、母と同じように男を手玉に取る事なのです。と言ってもロリータはまだ幼いので、それをゲームのように愉しんでいるのです。この二人の女性の歪んだ心というか、何かが欠落している心が本当の恐ろしい部分であると感じました。

 

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それはラストのロリータがハンバートに突き付けた事のやりとりにハッキリ現れていると思います。

 

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モノクロ作品ですが全く色褪せる事なく、最初から最後まで目の離せない作品です。是非ご覧になってみて下さい。