シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第12回 「博士の異常な愛情」②
この作品の主役は、前作の「ロリータ」にも出演していたピーター・セラーズです。
タイトルにもなっている[ストレンジラブ博士]の他にも[アメリカ大統領]、[マンドレーク大佐]の一人三役をやっています。
マンドレーク大佐は、イギリス空軍なのでイギリス訛り
ストレンジラブ博士は、ドイツ訛りの英語
こんなにも複雑な役柄をこなすなんて驚きです。作品を観ても同じ役者さんとは思えない演技です。スタンリー・キューブリック監督は、もう一役、空軍の爆撃機のパイロットのコングも演じて欲しかったようです。ちなみにコングはテキサス訛りの英語を話してるのだそうです。
この作品では役柄の名前が非常に変わってて、面白いというか意味深というか、そこからブラックな笑いにしちゃってます。
◉ストレンジラブ博士は、Strange=異常な、love=愛、[異常な愛]という名前です。
◉タージドソン将軍は、Turgid=腫れあがった、膨張した、son=ムスコ、[膨張したムスコ]になります。
◉マンドレイク大佐は、Mandrake→人の形に似た根を持つナス科の毒草で別名『マンドラゴラ』とも呼ばれる。魔術に用いられるとされる。引き抜くと悲鳴を上げ、その声を聞いた人間はたちどころに死に至るという伝説を持つ。そういう意味を持つ名前になっています。
◉リッパー将軍は、ジャック・リッパー→Jack the Ripper=切り裂きジャックという、1888年にイギリスで起きた連続猟奇殺人事件という意味を持っています。
名演技をしたピーター・セラーズ、そして監督のスタンリー・キューブリックもアカデミー賞とは縁がなく受賞していません。
タージドソン将軍を演じたジョージ・C・スコットは、「パットン大戦車軍団」でアカデミー賞主演男優賞を受賞しますが、受け取りを拒否していますし、アカデミー受賞式を批判しています。
アカデミー賞=優れた作品とも限らないですし、受賞していなくても名作はたくさんありますね。