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シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第24回 「十二人の怒れる男」②

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陪審員制度について少しお話ししていきたいと思います。

 

⚫️一般市民から無作為で選出され、宣誓を行った後、法廷の中に設けられた陪審員席に着席して審理に立ち会います。

審理の後に裁判官は陪審員に、どのような法が適用されるべきかという詳細な説示を行います。

陪審は法廷に提出された証拠と、裁判官の説示を踏まえ、密室で陪審員のみで評議を行って結論である評決(verdict)を下します。

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例えば、民事陪審では被告の責任の有無や損害賠償額についても評決を下します。

刑事事件では、陪審が有罪・無罪を議論します。有罪になった場合の量刑については裁判官が決定します。

評決は、伝統的に全員一致であることが原則とされますが、現在では、11対1や10対2などの特別多数決を認めるところもあります。

陪審員の意見が分かれて、全員一致や特別多数決の条件を満たさない場合になると、評決不能となって、新たな陪審の選任を行い裁判をすべてやり直すところが多いです。

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⚫️陪審制の意義

◉市民の常識や価値観を反映する

◉権力や体制に対する抑制機能をもたらす

◉市民に対する司法制度についての教育

◉裁判の迅速化

◉参加することによって民主主義を体現

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⚫️陪審制に対する批判

◉泥棒が侵入した家で転倒し怪我をしたために、被害者に対して賠償請求し勝訴した事例がありました。陪審員の判断力や判決の質などに疑問が出され批判が起きました。

陪審員の感情や偏見によって判決が左右されやすく、地域的な感情や歴史的経緯などの点でも「よそ者」や「嫌われ者」が不利になることがあるとの批判があります。

◉法律の素人である陪審員に法律の適用を任せてしまうことに問題がある。

◉弁護士は、陪審員の同情を引いたり心証を良くしたりするために、パフォーマンス的な事が行われるとの批判もされています。

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日本でも戦前の1928年(昭和3年)から刑事陪審が実施されたそうですが、1943年(昭和18年)に施行停止になりました。

2009年に開始された裁判員制度は、厳密な意味では陪審制とは異なるものです。

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今回のアメリカ大統領選挙でも多くの不正があり、トランプ前大統領への個人攻撃が激しく行われています。いま一度、民主主義について、自由とは何かについて考え、行動する時が来ているように思います。