シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第24回 「十二人の怒れる男」③
⚫️登場人物について紹介します。
★陪審員1番
議論の進行役を務める。高校でフットボールのコーチをやっている。
★陪審員2番
銀行員。気弱なところがあり慎重なタイプ。
★陪審員3番
メッセンジャー会社経営者。息子との確執があり頑固な性格。
★陪審員4番
株式の仲介人。冷静沈着、論理的に有罪を主張する。
★陪審員5番
スラム育ちで工場労働者。
★陪審員6番
塗装工をしており義理人情に厚い。
★陪審員7番
食品会社のセールスマン。ヤンキースの試合を観戦に行く予定があり、時間ばかり気にしていて、裁判には全く興味なく早く終わらせたいと思っている。
★陪審員8番
建築家。裁判に疑念を抱き、初めから無罪を主張した人物。
★陪審員9番
老人。鋭い観察力があり、事件の証人の信頼性に疑問を呈する。
★陪審員10番
自動車修理工場経営者。貧困層に対して偏見がある。
★陪審員11番
時計職人。ユダヤ移民。誠実さがあり陪審員としての責任感が強い。
★陪審員12番
広告代理店宣伝マン。社交的でムードメーカーだが、軽薄な性格で何度も意見を変える。
この作品のテーマは、物語の中に出てくる言葉にあります。それは‥
『郵便で通告を受けるとみんながここに集まって、全く知らない人間の有罪無罪を決める。この評決で私たちには何の損も得もない。この国が強い理由はここにある。』
これが民主主義の重要なところです。
劇中のセリフにも出てきますが、個人的な感情などで判断してはいけないのです。偏見は真実を曇らせます。
重要なのは事実は何か‥だけです。
映画でも主人公の名前すら明かさず、陪審員の番号だけで審議が行われます。それは観る者に余計な情報を与えないためです。
殺人事件の起きた映像さえも映しません。すべて陪審員の語りのみで、観客によけいな固定概念を持たせない為です。それは事件の真相そのものよりも、ファクトだけを伝え『疑わしきは罰せず』の原則に従い無罪の可能性も十分にあり、有罪が疑わしいという事を示すためです。
役者さんの演技だけで、物語を引っ張っていく力強さに圧倒されます。
現在のアメリカ、日本も民主主義の根幹が揺らいでいます。中国などの独裁的な全体主義社会と、日本やアメリカの自由で開かれた民主主義の社会の戦いになっています。みんなが意識を持って守っていかなければならない事だと思います。
シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第24回 「十二人の怒れる男」②
陪審員制度について少しお話ししていきたいと思います。
⚫️一般市民から無作為で選出され、宣誓を行った後、法廷の中に設けられた陪審員席に着席して審理に立ち会います。
審理の後に裁判官は陪審員に、どのような法が適用されるべきかという詳細な説示を行います。
陪審は法廷に提出された証拠と、裁判官の説示を踏まえ、密室で陪審員のみで評議を行って結論である評決(verdict)を下します。
例えば、民事陪審では被告の責任の有無や損害賠償額についても評決を下します。
刑事事件では、陪審が有罪・無罪を議論します。有罪になった場合の量刑については裁判官が決定します。
評決は、伝統的に全員一致であることが原則とされますが、現在では、11対1や10対2などの特別多数決を認めるところもあります。
陪審員の意見が分かれて、全員一致や特別多数決の条件を満たさない場合になると、評決不能となって、新たな陪審の選任を行い裁判をすべてやり直すところが多いです。
⚫️陪審制の意義
◉市民の常識や価値観を反映する
◉権力や体制に対する抑制機能をもたらす
◉市民に対する司法制度についての教育
◉裁判の迅速化
◉参加することによって民主主義を体現
⚫️陪審制に対する批判
◉泥棒が侵入した家で転倒し怪我をしたために、被害者に対して賠償請求し勝訴した事例がありました。陪審員の判断力や判決の質などに疑問が出され批判が起きました。
◉陪審員の感情や偏見によって判決が左右されやすく、地域的な感情や歴史的経緯などの点でも「よそ者」や「嫌われ者」が不利になることがあるとの批判があります。
◉法律の素人である陪審員に法律の適用を任せてしまうことに問題がある。
◉弁護士は、陪審員の同情を引いたり心証を良くしたりするために、パフォーマンス的な事が行われるとの批判もされています。
日本でも戦前の1928年(昭和3年)から刑事陪審が実施されたそうですが、1943年(昭和18年)に施行停止になりました。
2009年に開始された裁判員制度は、厳密な意味では陪審制とは異なるものです。
今回のアメリカ大統領選挙でも多くの不正があり、トランプ前大統領への個人攻撃が激しく行われています。いま一度、民主主義について、自由とは何かについて考え、行動する時が来ているように思います。
シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第24回 「十ニ人の怒れる男」①
作品の紹介です💁🏻♂️
父親殺しの罪に問われた少年の裁判で、陪審員の白熱する議論を描く。
少年による父親殺しの審理が終わり、陪審員たちが陪審室へと移り審議を開始する。陪審員たちは少年の有罪を確信していた。12人の全陪審員一致で有罪になると思われたところ、ただ一人だけが少年の無罪を主張する。彼は他の陪審員たちに、証拠の疑わしい点を一つ一つ再検証することを要求する。
白熱していく議論の中で、当初は少年の有罪を信じきっていた陪審員たちの心にも徐々に変化が訪れていく‥。
1954年製作のアメリカのテレビドラマのリメイクで、1957年製作のアメリカ映画。
監督はシドニー・ルメット
主演はヘンリー・フォンダ
原作者のレジナルド・ローズが、実際に殺人事件の陪審員を務めたことがキッカケで、その約1ヶ月後には、構想を練って執筆に取りかかった。
物語のほとんどを陪審室の室内だけで行われ、しかも陪審員たちの語りだけでストーリーは進行していきます。
テレビドラマ的な要素の物語を、シドニー・ルメット監督は見事に映画として力強く描きました。
シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第23回 「JSA」③
現在も続く日本を貶める反日姿勢は、とても許される問題ではありませんし、世界からも嫌悪感をしめされてるというのは残念でなりません。もっと自立し同じ価値観の国になってもらえるならば、全力で応援したいと思うのですが‥‥
北朝鮮も日本人を拉致している犯罪国家です。
日本人としてはまず拉致解決が何より重要な問題です。
しかし世界をマーケットにしてる韓国映画界は、やはりものすごく層も厚く、レベルが高いです。
監督も今作のパク・チャヌク以外にも、「パラサイト 半地下の家族」が記憶に新しいポン・ジュノなど、優れた監督が多いです。
今回の「JSA」に出演する俳優さんも素晴らしく、特に北朝鮮の兵士役ソン・ガンホさんの演技は見事です。北朝鮮兵士の役は1999年公開の「シュリ」でも演じています。
いろんな役をこなせる俳優さんで、このような深みのある役者さんは日本には数少ないです‥残念ながら‥
韓国は徴兵制ですし、戦争の危険が身近にあるので、兵士の役もリアルです。実際、イ・ビョンホンさんは兵役中に出演依頼があり、シナリオを読んだそうです。除隊後の初出演作品が、この「JSA」です。
物語は、黒澤明監督の「羅生門」を思わせるような‥事件の当事者の兵士それぞれの証言が食い違うところから始まります。謎が深まりつつ、北朝鮮兵士と韓国軍兵士の交流はコミカルに描かれ、そして事件が起き深刻な状況へと発展していきます。
事件前の物語と事件後の物語を上手くシンクロさせて、最後まで一気に観る者を引き付けていきます。
現実には問題の多い両国ですが、映画の世界と割り切って、ご覧になってみて下さい。
シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第23回 「JSA」②
★38度線について、お伝えしていきたいと思います★
⚫️タイトルの『JSA』は『Joint Security Area』、共同警備区域いう意味で、韓国と北朝鮮の軍事境界線上にある約800m四方の地域で、板門店と呼ばれています。
場所はこのあたりになります。
板門店は1953年10月に設置。韓国軍が中心の国連軍と北朝鮮軍の停戦協定に基づいて、北側には「中立国監督委員会」と南側に「軍事停戦委員会」の本会議場が設置され監視を行っている。緊急度を第一級〜第四級の4段階に分けて会議を開いています。
◉板門店(パンムンジョム)の名前の由来
1951年、朝鮮戦争休戦協定の協議が行われていた付近に、ノル門里(ノルムンニ)という名前の村があって、これは「板で出来た門のある村」という意味があり、協議のある会場の前に店があったことから、目印としてお店に看板を出して、これらを合わせて『板門店』と名付けたようです。
⚫️「中立国停戦監視委員会」
「中立国停戦監視委員会」(NNSC)は、朝鮮戦争において中立を宣言したスイス、スウェーデン(発足当初はチェコスロバキア、ポーランドも加わっていました)、それぞれから5人ずつの将校が板門店に派遣されています。
⚫️原則として南北の両兵士は軍事境界線を越えてはならず、「境界線を越えた者や相手兵士と会話を交わした者は死刑に処せられる」と定められています。
⚫️2019年6月30日、韓国側施設で、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長、米朝首脳会談が開催されました。史上初、現職の米大統領が北朝鮮側に足を踏み入れました。
⚫️見学について
南北の双方から見学を目的に板門店を訪れることができます。北側・南側それぞれ手続きや見学体制が異なっています。
南側から外国人が訪れる場合は、指定の団体ツアーに参加する必要があります。
パスポートの持参義務や、撮影、行動、服装などの制限などがあり、持ち物はポケットに入るもの以外持参できない。
板門店内では引率する国連軍兵士のあとに続いて2列で並んで移動し、自由に歩くことはできません。「北側から『挑発を受けた』と受け取られ攻撃する口実をつくることを防ぐため」で、指を差す、手を振る、大声で笑うなどの行為も禁止されています。写真撮影の際もピースなどのポーズも禁止です。
服装について、軍服に似た服、作業服、Tシャツ、破れたジーンズ、ショートパンツ、その他の露出度の高い服は禁止されています。
「緊急事態が起これば、死亡・負傷する恐れがあるが、自己責任を承知の元訪問する」と書かれた、国連軍の誓約書への署名が必要なので、親北派の文在寅政権の元、相変わらず反日活動な状況が続き、安定のトランプ政権から不正のバイデン政権へ移行される可能性も高まり、世界的にも混乱や不安定化が予想されますので、現時点で韓国への渡航は控えたほうが良いかも知れません。
シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第23回 「JSA」①
まずは作品の紹介です💁🏻♂️
南北分断の象徴である38度線上の共同警備区域(JSA)で射殺事件が起こる。現場にいた南北の兵士たちは互いに全く異なる供述を繰り返していた為に、真相がつかめない状況だった。そんな中、中立国監督委員会は捜査官として韓国系スイス人である女性将校・ソフィーを派遣し調査を開始する。彼女は事件の兵士たちと面会を重ね事件の真相に迫っていく。そこには全く予想外の「真実」が隠されていたのでした……。
2001年に日本公開された、韓国の作品です。
監督はパク・チャヌク
韓国軍スヒョク=イ・ビョンホン
スイス軍調査官=イ・ヨンエ
韓国の退役軍人からは「南北の警備兵が親密になることは実際には考えられず、不適切な描写である」と抗議が寄せられたそうです。
また現役の兵士からも「映画の物語であり、南北の兵士が交流するなんてありえない」と全面否定しています。
シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第22回 「シャイニング」③
元々スタンリー・キューブリックは写真家です。その技術や感覚があるので、1シーン、1シーン、こだわって撮影しています。その1カットで強いメッセージ、強烈なインパクトを与えています。
作品のポスターでも有名な、『ジャック・ニコルソンが叩き割ったドアの裂け目から顔を出す狂気の表情』を撮るために、わずか2秒程度のシーンを2週間かけて、190テイク以上の撮影をしたそうです。
この映画の撮影で開発されたステディカムの技術もあり、登場人物の動きに合わせてカメラが移動する撮影が効果的に使われています。
この移動撮影によって、何者かが見ているかのような不穏な雰囲気や、主人公のすぐそばに自分もいるような恐怖感があります。
撮影以外にもさまざまな要素が心理的な恐怖を感じさせます。まずはジャック・ニコルソンの狂気に満ちた演技ですね。普通の状態でもただならぬ雰囲気を漂わせているのですから、それ異常に何かが起こる恐怖を感じさせます‥
その他にもダニーが三輪車でホテルを走り回るシーンの、ゴロゴロというタイヤの音など‥『音』からも恐怖感を煽られます‥
異常現象が起こるホテルのフロアや部屋の色彩も気色の悪い雰囲気が漂っています‥
原作と違いキューブリック監督は、ハッキリとした説明を入れないので、例えば幽霊的なものが出現しますが、それが何者なのか意味不明です‥‥ラストの意味も不明です。そういうところが逆に想像力を無限に掻き立てられ、恐怖が倍増するのかも知れません‥
スピルバーグ監督も絶賛しているように、すべてが完璧な映画です。
そして子役のダニーの演技がとても素晴らしいですね。撮影中に何度もやり直しのテイクを重ねても、イヤな顔ひとつせずに演技を続けたそうです。また実際の名前と同じ『ダニー』という名前なので、監督も指示が出しやすく良い関係を築けたそうです。
わたくし同様にホラーが苦手な方も、ぜひ一度ご覧になってみて下さい。