シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第14回 「時計じかけのオレンジ」③
この作品は当初、主人公アレックスをミック・ジャガー、その仲間たちに同じくローリング・ストーンズのメンバーを起用する事で予定されていました。
そして映画のサウンドトラックをビートルズが予定されていました。なんとビートルズがミック・ジャガーの映画出演を実現させる為に嘆願書を書いていたそうです。
最終的に監督がスタンリー・キューブリックに決まり、キューブリックが主人公アレックスを演じる俳優について「マルコム・マクダウェルでないとダメだ」とキャスティングの予定を変更し、結果として見事な演技を披露し、素晴らしい作品に仕上がりました。
作品内容には、かなり暴力的で過激な表現がありますが、現在によく見られる血しぶきが飛び散ったり、体が引き裂かれたり、エグい描写は見せていないにも関わらず、身の毛もよだつ恐怖が伝わってきます。
誰もが目を背けたくなるほどの暴力でありながら、そうさせずに最後まで見せてしまう演出で、この作品を観た人間の心の中にグイグイと入り込んで、その奥深くにある暴力性をこの映画は観る者に試してくるのです。