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シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第3回 「グラン・トリノ」②

この作品で主人公ウォルトの家の隣にアジア人一家が引っ越してきます。このアジア人たちはモン族といいます。

 

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このモン族というのがアメリカと非常に関わりがあるのです。細かく書くと説明しきれないほどにたくさんの複雑な歴史があるので、また何かの機会に紹介出来ればと思いますので、ここでは簡単にお話しします。

 

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モン族はベトナムやタイ、ラオスなどに暮す少数民族です。それゆえにいろいろな戦争に巻き込まれていきました。

1955年頃から始まった第二次インドシナ戦争(ベトナム戦争)で、CIAが関与して金属すら見たことのないモン族に銃の使い方から戦闘機の操縦法まで、ありとあらゆることを教え込んで、ラオス領内におけるアメリカの反共破壊工作「ラオス秘密戦争」と呼ばれる活動に利用されました。

 

そして1975年、アメリカがベトナム戦争に敗れると、モン族は見捨てられ行き場を失いました。彼らの多くはベトナム軍、ラオスの共産勢力などによる掃討作戦で返り討ちに遭い、女、子供も含めて虐殺されました。数十万のモン族が政治亡命を求めタイに逃げ、これらの難民数千人が1970年代後半から欧米諸国、主に米国、またオーストラリア、フランス、フランス領ギアナ、カナダ、および南米に移住しているそうです。

 

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映画では移民であるモン族の中でも、ギャングになっていく者がいたり、アメリカ人はみんな引っ越して出て行ったりして、社会問題になっている様子が描かれています。もちろんモン族だけが問題というわけではありません!移民の問題というのは世界中で問題になっていますし、それに加えて現在では武漢コロナの問題もあります。

日本では表向き移民は受け入れていませんが、事実上周りには外国人が溢れています。もちろん日本という国をリスペクトして尊重して暮らしてもらえる外国人は問題ありませんが、「グラン・トリノ」の物語にもあったように、良き文化が失われてしまう可能性もあるのです。どのようにこの問題と向き合うべきなのか考えていかなければなりません。