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シネマ・エンター 忘れないよ名作映画 第15回「2001年宇宙の旅」③

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まず驚きなのは、1967年に公開された映画であるということです。

それまでの宇宙を舞台にした映画は、低予算B級ものであったり子供向けの作品ばかりでした。それをこの映画では、あらゆる分野の専門家、科学者から情報を得てリアリズムを徹底的に追求して描きました。

しかも今のようにCG技術が全く無い時代です。

ここまでの美しくリアルな映像を表現しているのは、奇跡のように感じます。

 

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あまり種明かしするのもどうかと思いますので、メイキングで紹介されてた撮影手法をひとつ紹介したいと思います。

宇宙ステーションまで向かうパンナムの宇宙船内で、ペンが空中を浮遊してるシーンがありますが‥‥

これは、カメラの前にガラス板を置いて、そこにペンを貼り付けてガラス板をゆっくり動かしているのです。

こういったアイデアとスタッフたちの努力によって、現代に観ても劣ることのない映像を実現しているのです。

今の時代はCGを多用してしまい手軽に作れてしまうので薄っぺらく思う事が多いですが、昔の手作りで表現された映像のほうが味があって面白いですし、インパクトがあって印象に残ります。そういう作り手の熱量が作品全体の質を上げていると思います。

 

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製作にあたり当初は美術担当に手塚治虫にオファーをしていたようですが、手塚治虫は連載漫画などを多数抱えていたので断ったという話しもあります。本当ならば残念な話しです。

 

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この映画は現代も活躍する監督たちに多大な影響を与えました。

ジョージ・ルーカスは『スターウォーズ』、スピルバーグは『未知との遭遇』、リドリー・スコットは『エイリアン』、そして撮影手法でも大きく影響を受けているのは『インセプション』や『インターステラー』のクリストファー・ノーランでしょう。

スタンリー・キューブリックこそが「モノリス」そのものな存在ですね。

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映画の冒頭からスローテンポであり、今の時代に観れば緩い感じに思うかも知れません。それに説明的な部分を全部省いているので、難解な作品と言われることもあります。

最近はテレビの影響もあり〝わりやすい“ 〝答えのあるもの“ ばかりになってしまってて、自分の中で答えのないものについて〝考える“って事が少なくなってしまったように思います。

是非ご覧になって、自分の空想の中で自由に考えてみて下さい。